2020/06/16 14:00

職人さんとの対話11 「生地・縫製・加工」職人 前編はこちらから。



作業しやすい格好はどのような格好ですか? 何故ですか?

 

自分たちが作業をするにあたって、よく使う道具を入れる大きめのポケットだったり、スムーズに出し入れ出来る位置だったり、作業中に負荷が掛かるところに補強がしてあったり、出来るだけ、作業の流れをスムーズに出来る格好です。

あと、機械や作業台に体が触れる現場では、ベルトなどをしていると機械や作業台にベルトの金具が当たるので、ベルトをしなくても良いつなぎや前掛けを着用します。

染料や薬品を使う現場では、汚れの付きにくいナイロン素材の作業着など、各現場で、その作業に合わせた格好をしています。各自、つなぎや、エプロンなど、自作で作ったりします。






モノづくりにおいて、ルーティーンやルールなどはありますか?

 

作業中に何度も確認する。各工程での試験を必ず何回かする。

毎日、同じ作業をやっていると、ついつい慣れて過信してしまうんですよね。

思い込みや信じ過ぎると必ず失敗します。

試験を何回もすることです。毎回少しずつ変わる場合もありますので。季節や日によっても、気温や湿度などで大きく変わったりします。雨の日に行った作業と、晴れの日に行った作業では、薬品の量が同じでも同じものは出来ないんです。朝、作業をする前に、薬品濃度を探る作業をしますし、途中で、気温が大きく変われば、そこで、また薬品を調整します。生地も、夏場の湿気が多くある時の生地と、冬場の乾燥した時の生地とでは、縮率が大きく変わるものもあります。

糸も生地も、加工も、染料も薬剤も、すべて生き物みたいで、その時の状況で、毎回変わるんですよね。

これは、繊維だけではなく、ものを作る上では、皆さん、必ずあることだと思います。

 





- PCの生地・縫製・加工は高いですか?

 

この世界に入って毎日、当たり前のようにものづくりをして来て、深く日本製の良さというものを考えたことがなかったのですが...

数年前にPCの皆さんとアメリカに行かせて頂き、先々で僕が着ていたPC SASHIKOを見た外国の方々から「良いね」って声を掛けて頂いたんです。

そういう言葉を聞いた時に、日本でものづくりをしていて良かったなぁと、本当に思いました。

手間が掛かるから、大量生産出来ないから、コストが高いからと言って、今のものづくりをやめたり海外で手間を省いて安価なものばかり作るということをしたら、こういう商品は二度と生まれないでしょう。

 

僕は決して、海外で大量生産によって安く作られるものを悪いとは思わないです。

安く作るというのも、ものを作る上での大きな努力の一つだと思うので。

ただ、あまりにもそれにとらわれすぎて、時に、大事なものを無くしているような気がします。

値段ばかりが先行して本当に良いものが衰退していることも、たくさんあります。

 

僕も海外でものづくりをした経験ありますし、安く作ることを一番に考えたものづくりのやり方を知っています。

しかし…簡単なところで言えば、例えば、今期のPC SASHIKO LINEN PREMIUMですが、単純に安くしようと思えば材料の質を落とすことなんです。

使っているリネンの質を今より安いものに落とすだけで、価格が下がると思います。もっと細かいことを言えば、糸の番手や、本数など、目に見えない細かい工程を省くことで、今より全然安くなるかも知れません。

 

ただ、そうした場合に、あの生地は出来ないんです。

あの柔らかい風合いは、絶対に落ちるんです。

 

今回、PC SASHIKO LINEN PREMIUMを作っている時に、出来上がって来た生地を初めて見た現場の職人さんが一言「これは、すごく良いね」って言ってくれたんです。いつもは寡黙な職人さんが。

良質なリネンが無かったら、絶対に出来なかったと思います

 

PC KASURIの糸もそうなんですが、手間暇掛けて出来る糸は、本当に綺麗なんですね。

でも、PCさんが商品にしようと言って頂けなかったら、あの糸は、多分、日の目を見ることはなかったと思います.

 

PC KOGINの糸も、素材の綿から選んで、何十回と染色テストを繰り返して、あのオリジナルのPCブルーに染めました。糸が出来た後は、生地のテストを幾度となく繰り返しです。ある程度の厚みもありながら、柔らかさを出すのがポイントでした。 速度を上げて日に出来る数量を上げることも出来ますが、それでは、あの生地の柔らかさや、あのこぎんの糸のふくらみは出ないんです。

色も少しずつ色を落として、一気に色を落とすことも出来るのですがそうした場合に、あのPCブルーの色が綺麗に残せないんです。

 

何回も繰り返し回数を重ねて、手作業で作り上げていきます。

一つ一つが手間と時間が掛かる工程ですが、「良いものを作りたい」という思いがあるから、かたちになっているんだと思います。

 

その積み重ねを考えると、僕は決して高くないと思います。

 

お客様が日本のものづくりをすごく理解していて、支持して頂ける環境があるということ、また、そういうお客様が、世界中に居てくれることは本当に有難いですね。

孫の代まで、その先まで後世に残して行けるものを、そしてそれに共感して頂けるお客様が一人でも多くなるように、日々、精進したいと思います。




 

ご自身が好きなPCの表現(商品など)は何ですか?

 

たくさんありすぎて、困りますね、正直、全部です(笑)

 

まずは、ロールアップシャツですね。これこそ、すごく上手に作られたシャツだと思います。

ポケットの大きさや、襟、フラップの形、シルエット、どんな人にも合う着る人のことを考えて作られたシャツです。

作られている職人さんにもお会いしたことがありますが、高い技術を持たれていて、とても素晴らしい職人さんですね。デザインや、生地を活かしたシャツ作りの技術など、すべてのバランスが素晴らしい。だからロールアップシャツは、何枚あってもまた次が欲しくなりますね(笑)

 

あと、レザーシューズです。昔は、レザーシューズをよく履いていたんですが、最近は、スニーカーの楽さに負けて、つい履く機会が少なくなっていたんですが、PCのレザーシューズを玲雄さんに進めて頂いて履いたら、びっくりしましたね。こんなに履いてて楽なレザーシューズはなかなか無いですね。

レザーの質感も良いですし、作りがすごく良くて、PCのレザーシューズは、すごくよく履いています。

次のジップのシューズ(2020A/W)も、すごく楽しみです。

 

それと、個人的には、絶対に外せないのが、アクセサリーです。元々、この道に進んだきっかけにもなったのがシルバーアクセサリーなので、すごく好きなんですが、PCのアクセサリーは、すごく繊細な作りで、ウォッチチェーンには、昔と同じように、コマの一つ一つにパサントの代わりに、ハートが入っていたり、すごく丁寧に作られているアクセサリーなので、毎日、身に着けて楽しみたいです。

 

他にも、mimoeさんやお針子さんたちのイラストや刺繍は、毎シーズンすごく楽しみです。

何といっても、お針子さんのハンドワークの商品は、やはりPCらしい表現が詰まっていて、ものを無駄にしない工夫や、ハンドワークの温かさなど、とても魅力的です。

 

ニュートンのカバンもすごく良いですね。

寝具の高い技術とカバンづくりの技術が融合した本当によく出来た商品だと思います。

東京など出張に行く時には、サンプルなどを入れたカバンを両手に持って移動していたのですが、PCのカバンは、見た目以上にたくさんのものが入るのと、ニュートンのストラップのおかげで、たくさんの荷物でも、リュック一つで済むようになりましたね。

これは、本当に有難いです!!

 

スーパーナイロンも、すごい技術ですね。

同じ染色加工をする者としては、ナイロンのインディゴ染めは、本当にすごいと思います。

 

すべての商品に言えることは、妥協が無いところが一番好きですね。

シャツの職人さんや、かばんの職人さん、レザーの職人さん、mimoeさんや、お針子さんたち、PCに携わっている方々が、すべて妥協の無いものづくりをされているので、そこにすごく惹かれますね。

 

あとすごく自由なものづくりをされている感じがします。

クラシックな良さは大事にしつつも、常に、新しいことにチャレンジしていて。

それをPCのフィルターを通して表現した時に、すごく新しいことをクラシックに落とし込んでいるところは、やはり惹かれます。

 

固定概念にとらわれていないものづくりは見ていて、とてもワクワクします。

 

今は、すごく大変な時ですが、一日も早く、今の状況が良くなって、その時には、お気に入りのPCの商品で、是非、旅をしたいと思います。